
LOOK #003
SEMI-DOUBLE JACKET
BELTED TROUSER

[profile]
ZEN
1993年、東京都出身。
日本初のプロパルクール選手として世界を転戦。
異なる国籍を持つトップパルクールアスリートで構成される『TEAM FARANG』に参画し、2015年にはアジア人初の全米・北米王者に。
2020年には競技パルクールの世界チャンピオンに輝く。
現在はプレイヤーとしてパルクールカルチャー普及に関わる活動に従事しながら、
パルクールを通して得た経験や感性を、映像や写真、デザインといったクリエイティブ活動でアウトプットするアーティストとしても活躍。
Interview with ZEN
About fashion, parkour, and life's work.
──今回はスタイリストを起用せず、ご自身で細かい部分のスタイリングもしていただきましたが、終えてみての感想を聞かせてください。
ZEN 撮影では、事細かにプランされていてしっかり演出も決まっている現場が多いのですが、そうじゃない自由度の高いセッションスタイルの場合もあります。
普段からどちらもよくやっているのですが、個人的にはセッション型が合っているというか、好きなんです。
大枠のテーマだけ提示してもらって、自分なりの手掛かりに従って、その場の雰囲気や自分の気分、身体の動きで色付けするような。
そういう場面で自分はクリエイティブを発揮できるタイプだと思っていて。今日もリラックスして楽しめました。
──今日は〈DDDD(ディフォー)〉の服に少しだけ私服をミックスしてもらいました。
普段はどんな服をよく着ているのでしょうか?
ZEN 古着屋に行くのが好きですね。試着するのが好きなんです。
いろいろなテイストの服をガサっと試着室に持ち込んで、どんどん袖を通すのですが、古着屋はそれが許される雰囲気なのが心地いいんです。
──確かに、高級ブランドの店よりは気楽にたくさん試着できそうですね。
ZEN もちろん、欲しいものを決めて目当てのブランドのショップに行くこともあるんですが、古着屋はまた、別の楽しさがあります。
ちょっとした空き時間にフラっと刺激を求めに立ち寄るみたいな時は、やっぱり古着屋で誰にも話しかけられない状況で、とにかく着まくる(笑)。
着てみることで、ディテールや作りが今の服と違っていたり、自分の体型に合わせることで、こんな見え方になるのかなど、発見があって面白い。
自分の中にはなかった自分のイメージを引き出してくれるんです。
──今日、持ってきてもらった帽子も、色使いやロゴなど、とても珍しくて面白いですね。セレクトセンスの良さを感じます。
どんな古着屋に行っているのでしょうか?
ZEN 行く店はかなり幅広いですね。
日本では個人バイヤーがしっかりセレクトをしているお店も行くし、安い古着がたくさん並んでいる大きな店にも行くし、「セカンドストリート」に行くこともあるし。
でも海外遠征先の古着屋に行くのも楽しいかな。
──パルクール競技会や撮影などで、海外に行く機会が多いんですよね。
ZEN そうですね。パルクールってだいたい日中にやることが多くて。
もちろん、夜に活動しているチームもありますが、明るい方がパフォーマンスは高まるので。
昼に練習して、撮影して、クタクタになって。それで、仲間たちと夕飯を食べる前とか、後とか。
そこで近くの古着屋に行って、先ほど話したように、気になったものをどんどん試着しています。
──活動の分野が多岐に渡りますが、ご自身の肩書きはどうされていますか?
ZEN “表現”というのが自分の活動なんですが、それが身体を使って表現するときは、パルクールアスリートになるし、身体を使わない時には現代アーティストだったり。
競技会では選手だし、舞台に出る時は俳優だし、自分の中では肩書きは気にしていませんね。
やりたいことをやっているだけなんで。
──〈DDDD〉との関わりについて教えてください。
ZEN 肩書きとしてはアートディレクターです。
服作りではなく、プロジェクトの世界観を作る役割を担っています。
チームに対して、こんなことをしたら面白いのでは? と提案したり、逆にデザイナーやディレクターの考えに対して自分の意見を返す、壁打ち的なことをすることもあります。
──常に新しいことに挑戦されている印象ですが、長く継続しているライフワークもあるんですよね?
ZEN 世界各国のトップパルクールアスリートで構成されたインターナショナルチーム『Team Farang(チーム ファラン)』の一員としての活動と並行して、
パートナーのビデオグラファーと世界のさまざまな都市を巡ってパルクールをして、
映像として発信する『FREERUN ON EARTH(フリーラン オン アース)』というプロジェクトを継続しています。
ほかにもいろいろありますが、ほとんどは中心にパルクールがあって、その時、その時に合わせたアウトプットをしています。
つまり、パルクールは自分にとってインプットなんです。
──パルクールはアウトプットだと思っていました!
ZEN もちろん、パフォーマンスを届けるというアウトプットの手段の場合もあるんですが、基本はインプット。
パルクールは都市の中で周囲にある環境や地形に合わせてできること、やることが変わるんです。
必ず移動が伴うし、旅をして旅先に1週間、2週間、長い時には1ヶ月くらい滞在しながらトレーニングをして、ローカルのプレイヤーと交流して……。
そんな生活の中で今まで知らなかった自分を見つけたりするんです。
──ライフスタイルのすべてがパルクールでインプットなんですね。
ZEN この都市はなんでこうなっているんだろうとか、自分はこう感じたけど、街の人はそうじゃいのはなぜだろうとか、
そういう疑問や気付きが物を作ったり、表現したりしはじめたきっかけですね。
最初のうちは、身体で伝えるパフォーマンスをやっていたんですが、パフォーマンスは見た目の「すごい!」っていう印象が先行してしまって、
細かい感情とか文脈みたいな部分が伝わらないなと思ったんです。
だから今は、写真だったり、絵画や立体造形だったり、洋服づくりのコンセプトにしたり。
──確かにパルクールアスリートの視点は、地元の住民とも、普通の旅行者ともまた違ったものになるのは納得です。
ZEN 街も人も入り込まないと見えないものがあるんです。
大通りに見えているものは街が見せたいものなんです。
路地を入ったり、上から見下ろしてみたり、俯瞰してみるというよりは、多面的にみると、お化粧していない、すっぴんの街を感じられるのが面白いんです。
──ZENさんの創作活動の拠点は日本にあるのでしょうか?
ZEN これまでは、国内のいろいろな場所に点在していたのですが、やりたいことがたくさんありすぎて、移動の時間も無駄にしたくないなと思って、1箇所にまとめることにしたんです。
それがつい先日、北九州市門司に構えた『SEE THE WALL(シー ザ ウォール)』という施設です。
鉄工所だった建物をリノベーションして、トレーニングのためのプライベートスタジオとアトリエ、ギャラリースペース、オフィスも備えました。
──『SEE THE WALL』というネーミングにはどんな意味があるのでしょうか。
ZEN これは僕のパルクールのコンセプト、哲学とも言えます。
壁を見ること、障害を観察することを通して、自分を見る、知るという考えです。
フィジカル的なことも、精神的なことも含めて。
新しく作った施設では、やりたいことを実験的に、ひたすらトライできる空間になっています。
あと、地元の子どもたちにも親しまれるような空間に出来たらいいなと考えているところです。
──東京ではなく、北九州に拠点を作ったのはなぜですか?
ZEN 東京のど真ん中で生まれて育って、便利だし、いろいろな人がいて楽しいのですが、一方でなにかに没頭して生きるには狭すぎて。
ほかの人の世界観が近すぎるという感覚があったんです。
コロナ以降、LAから日本に戻ってきて、どこに住もうか、と考えた時に東京じゃなくてもいいかなと。
北九州は妻の出身地で、自分の母も北九州の出身で。
妻の出産のタイミングで数ヶ月住んでみたらいいところだなと。
車社会だし、大きな空間もあるし、自分自身と向き合うのにぴったりな場所です。
──やりたいことがたくさんあるって言い切れるのが素敵だなと思いました。
ZEN 「どんどんやれ!」って背中を押してくれる仲間が周りにいるおかげですかね(笑)。
新しい拠点もできたし、空間をどうやって使おうか、どんな創作活動をしようか、やりたかったことを少しずつカタチにしていくのが楽しみです。
photography SHINYA SASAKI
text HIDEKI GOYA
3 LOOKS my own individuality case 01 "ZEN"
独自の美学を貫き、自分らしく生きる表現者を迎え、ファッションの未知なる可能性とスタイルを模索する「3 LOOKS」。
第一回は、日本初のプロパルクールアスリート、ZENとのセッション。
パルクールでの体験を根幹に、映像や写真、デザインなど、多彩なフィールドでクリエイティブに活動するZENと〈DDDD〉の服、その個性の邂逅。
(LOOK 01)
LOOK #001
ZIPPER SHIRT
15oz DENIM BANANA PANTS INDIGO
(LOOK 02)
LOOK #002
14G FADE KNIT POLO SHIRT
15OZ DENIM BANANA PANTS INDIGO
(LOOK 03)
LOOK #003
SEMI-DOUBLE JACKET
BELTED TROUSER
[profile]
ZEN
1993年、東京都出身。
日本初のプロパルクール選手として世界を転戦。
異なる国籍を持つトップパルクールアスリートで構成される『TEAM FARANG』に参画し、2015年にはアジア人初の全米・北米王者に。
2020年には競技パルクールの世界チャンピオンに輝く。
現在はプレイヤーとしてパルクールカルチャー普及に関わる活動に従事しながら、
パルクールを通して得た経験や感性を、映像や写真、デザインといったクリエイティブ活動でアウトプットするアーティストとしても活躍。
Interview with ZEN
About fashion, parkour, and life's work.
──今回はスタイリストを起用せず、ご自身で細かい部分のスタイリングもしていただきましたが、終えてみての感想を聞かせてください。
ZEN 撮影では、事細かにプランされていてしっかり演出も決まっている現場が多いのですが、そうじゃない自由度の高いセッションスタイルの場合もあります。
普段からどちらもよくやっているのですが、個人的にはセッション型が合っているというか、好きなんです。
大枠のテーマだけ提示してもらって、自分なりの手掛かりに従って、その場の雰囲気や自分の気分、身体の動きで色付けするような。
そういう場面で自分はクリエイティブを発揮できるタイプだと思っていて。今日もリラックスして楽しめました。
──今日は〈DDDD(ディフォー)〉の服に少しだけ私服をミックスしてもらいました。
普段はどんな服をよく着ているのでしょうか?
ZEN 古着屋に行くのが好きですね。試着するのが好きなんです。
いろいろなテイストの服をガサっと試着室に持ち込んで、どんどん袖を通すのですが、古着屋はそれが許される雰囲気なのが心地いいんです。
──確かに、高級ブランドの店よりは気楽にたくさん試着できそうですね。
ZEN もちろん、欲しいものを決めて目当てのブランドのショップに行くこともあるんですが、古着屋はまた、別の楽しさがあります。
ちょっとした空き時間にフラっと刺激を求めに立ち寄るみたいな時は、やっぱり古着屋で誰にも話しかけられない状況で、とにかく着まくる(笑)。
着てみることで、ディテールや作りが今の服と違っていたり、自分の体型に合わせることで、こんな見え方になるのかなど、発見があって面白い。
自分の中にはなかった自分のイメージを引き出してくれるんです。
──今日、持ってきてもらった帽子も、色使いやロゴなど、とても珍しくて面白いですね。セレクトセンスの良さを感じます。
どんな古着屋に行っているのでしょうか?
ZEN 行く店はかなり幅広いですね。
日本では個人バイヤーがしっかりセレクトをしているお店も行くし、安い古着がたくさん並んでいる大きな店にも行くし、「セカンドストリート」に行くこともあるし。
でも海外遠征先の古着屋に行くのも楽しいかな。
──パルクール競技会や撮影などで、海外に行く機会が多いんですよね。
ZEN そうですね。パルクールってだいたい日中にやることが多くて。
もちろん、夜に活動しているチームもありますが、明るい方がパフォーマンスは高まるので。
昼に練習して、撮影して、クタクタになって。それで、仲間たちと夕飯を食べる前とか、後とか。
そこで近くの古着屋に行って、先ほど話したように、気になったものをどんどん試着しています。
──活動の分野が多岐に渡りますが、ご自身の肩書きはどうされていますか?
ZEN “表現”というのが自分の活動なんですが、それが身体を使って表現するときは、パルクールアスリートになるし、身体を使わない時には現代アーティストだったり。
競技会では選手だし、舞台に出る時は俳優だし、自分の中では肩書きは気にしていませんね。
やりたいことをやっているだけなんで。
──〈DDDD〉との関わりについて教えてください。
ZEN 肩書きとしてはアートディレクターです。
服作りではなく、プロジェクトの世界観を作る役割を担っています。
チームに対して、こんなことをしたら面白いのでは? と提案したり、逆にデザイナーやディレクターの考えに対して自分の意見を返す、壁打ち的なことをすることもあります。
──常に新しいことに挑戦されている印象ですが、長く継続しているライフワークもあるんですよね?
ZEN 世界各国のトップパルクールアスリートで構成されたインターナショナルチーム『Team Farang(チーム ファラン)』の一員としての活動と並行して、
パートナーのビデオグラファーと世界のさまざまな都市を巡ってパルクールをして、
映像として発信する『FREERUN ON EARTH(フリーラン オン アース)』というプロジェクトを継続しています。
ほかにもいろいろありますが、ほとんどは中心にパルクールがあって、その時、その時に合わせたアウトプットをしています。
つまり、パルクールは自分にとってインプットなんです。
──パルクールはアウトプットだと思っていました!
ZEN もちろん、パフォーマンスを届けるというアウトプットの手段の場合もあるんですが、基本はインプット。
パルクールは都市の中で周囲にある環境や地形に合わせてできること、やることが変わるんです。
必ず移動が伴うし、旅をして旅先に1週間、2週間、長い時には1ヶ月くらい滞在しながらトレーニングをして、ローカルのプレイヤーと交流して……。
そんな生活の中で今まで知らなかった自分を見つけたりするんです。
──ライフスタイルのすべてがパルクールでインプットなんですね。
ZEN この都市はなんでこうなっているんだろうとか、自分はこう感じたけど、街の人はそうじゃいのはなぜだろうとか、
そういう疑問や気付きが物を作ったり、表現したりしはじめたきっかけですね。
最初のうちは、身体で伝えるパフォーマンスをやっていたんですが、パフォーマンスは見た目の「すごい!」っていう印象が先行してしまって、
細かい感情とか文脈みたいな部分が伝わらないなと思ったんです。
だから今は、写真だったり、絵画や立体造形だったり、洋服づくりのコンセプトにしたり。
──確かにパルクールアスリートの視点は、地元の住民とも、普通の旅行者ともまた違ったものになるのは納得です。
ZEN 街も人も入り込まないと見えないものがあるんです。
大通りに見えているものは街が見せたいものなんです。
路地を入ったり、上から見下ろしてみたり、俯瞰してみるというよりは、多面的にみると、お化粧していない、すっぴんの街を感じられるのが面白いんです。
──ZENさんの創作活動の拠点は日本にあるのでしょうか?
ZEN これまでは、国内のいろいろな場所に点在していたのですが、やりたいことがたくさんありすぎて、移動の時間も無駄にしたくないなと思って、1箇所にまとめることにしたんです。
それがつい先日、北九州市門司に構えた『SEE THE WALL(シー ザ ウォール)』という施設です。
鉄工所だった建物をリノベーションして、トレーニングのためのプライベートスタジオとアトリエ、ギャラリースペース、オフィスも備えました。
──『SEE THE WALL』というネーミングにはどんな意味があるのでしょうか。
ZEN これは僕のパルクールのコンセプト、哲学とも言えます。
壁を見ること、障害を観察することを通して、自分を見る、知るという考えです。
フィジカル的なことも、精神的なことも含めて。
新しく作った施設では、やりたいことを実験的に、ひたすらトライできる空間になっています。
あと、地元の子どもたちにも親しまれるような空間に出来たらいいなと考えているところです。
──東京ではなく、北九州に拠点を作ったのはなぜですか?
ZEN 東京のど真ん中で生まれて育って、便利だし、いろいろな人がいて楽しいのですが、一方でなにかに没頭して生きるには狭すぎて。
ほかの人の世界観が近すぎるという感覚があったんです。
コロナ以降、LAから日本に戻ってきて、どこに住もうか、と考えた時に東京じゃなくてもいいかなと。
北九州は妻の出身地で、自分の母も北九州の出身で。
妻の出産のタイミングで数ヶ月住んでみたらいいところだなと。
車社会だし、大きな空間もあるし、自分自身と向き合うのにぴったりな場所です。
──やりたいことがたくさんあるって言い切れるのが素敵だなと思いました。
ZEN 「どんどんやれ!」って背中を押してくれる仲間が周りにいるおかげですかね(笑)。
新しい拠点もできたし、空間をどうやって使おうか、どんな創作活動をしようか、やりたかったことを少しずつカタチにしていくのが楽しみです。
photography SHINYA SASAKI
text HIDEKI GOYA